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スキー工作その2 ~インビス化~
2013年 04月 10日 *
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スキー工作の第二段。
手持ちのスキーの一部をインビス化しました。
やっぱり長文なので注意!!

「インビス」とは「インサート・ビス」のことなんですが、簡単に言うとスノーボードのビンディング取り付けのネジ穴です。
一般的なスキーのビンディングは板に直接「木ネジ」で固定しちゃうので、基本的に着脱は不可。
そんな構造の為、板毎にビンディングを用意しないといけないんです。
個人のブーツのソール長ごとに取り付け位置が変わるので仕方が無いんですけどね。

しかし、昨今のシュチエーションごとに板を使い分けたい現状では、板はともかくビンディング代がバカになりません。
特に、高価な(約4万円~)山スキー用のビンディングは懐具合的にキビシイのです。
というわけで、板に金属製の「ネジ穴」を埋め込み、着脱可能にすることが「インビス化」の狙いです。

今回は、パウダー用の「K2 PONTOON」と残雪期用の「KARHU STORM」で、TLTビンディングを共用できるようにします。
軽量な「KARHU STORM」は春のロングルートに使うため、出番はたぶん3月下旬~GWまで。
そしてパウダースペシャルな「K2 PONTOON」は1月~2月末までしか使うことは無いでしょう。
とりあえずは、この2本での共用が一番効果的だと思います。

ちなみに、プロショップでの「スキーへのインビス施工」は割と昔から聞きます。
工賃は結構高く(一箇所600円~1000円程度?)板2セットで30数箇所以上はあるので、あまりおトク感はありません。
そもそも福井県内で施工してくれるショップはあるのでしょうか。
しかし近年、個人向けに「インビス・キット」なるものが出回りだし、ネット上でも実施例を良く見るようになりました。
なんとなく自分の中で「機が熟した」ように感じたので、思い切って挑戦してみました。

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「何が必要か?」

今回は、白馬の「BLUECLIFF」でキット一式を購入しました。
① ステンレスインサートビス18個
② M5ステンレス皿ネジ18個
③ W5/16 上タップ
④ タップハンドル
⑤ 6.3mmドリル
⑥ 3mm六角Tレンチ
⑦ エポキシ接着剤
⑧ おまけのネジ止め剤

以上がキット一式で、追加で36個インビスのみ追加しました。
もちろんインビスのみや、各工具別での購入もできます。

①のオリジナルのインビス以外は一般的なものですが、いろいろメンドウなのでキット一式で購入しました。
④⑤⑥⑦⑧は地元のコメリで普通に売っていましたが、問題は②と③です。

②M5のステンレス皿ネジは置いてあるのですが、頭が「+」しか置いてないのです。
皿ネジはナメてしまうと厄介なので、トルクの掛け易い6角穴(もしくはトルクス)が良いと思います。
実際に付属のセットを見ると、長さも場所ごとに違うようですし、頭の大きさの関係で一部「+」だったりもします。
自分で判断できないならキットを購入したほうが無難でしょう。
各種ビンディングごとにビスセットが選べます。

③W5/16のタップは「中」タップしか置いてありませんでした。
ホムセンを何軒か回りましたが、そもそもウィット規格のタップ自体ほとんど置いていないようです。
タップは「先」「中」「上」とありますが、止め穴へのタップ立てなので、上タップ使用がベターだと思います。

まあ、いろいろ回って揃えるのもメンドウなので、普通の人はセットで買っちゃった方が楽だと思います。
それにしても、個人相手にこのような商品を(手ごろな価格で)販売してくれるのはホントありがたいです。
(話はズレますが、ネット通販でBC用品を買おうとしたとき、最終的には「BLUECLIFF」になってしまうことが多いです。
値段、品揃え、ネットショップの対応が良いし、なにより店長がガイドの滝本氏なんで、安心して質問できますからね。)

あと、新品の板に直接施工する場合は必要ないですが、通常取り付け済みのものをインビス化する場合、スキー用木ネジの取り外しに「ポジドライブNo.3(PZ3)」のドライバーが必要です。
普通のプラスNo.3でも回らないことはないですが、下手するとナメてしまってエライコトになりかねません。
ちなみに「ポジドライブNo.3」もそこらのホムセンには売っていません。(唯一コメリの安物セットにPZ3のビットが入ってた)


その他、スキー用インビスの販売は、「Quiver Killer」や「Binding Freedom」など海外メーカーがあります。
以前は、これらを海外から購入するか、エンザートなどの一般工業用を流用していたようです。

あと、国内では「FIELD EARTH DESIGN」でも販売しているようです。
コチラのは一個105円と単価がかなり安いです(ブルクリは一個147円)
ただ、内側はM5とブルクリと同じですが、外側はM8のようです。
W5/16 : 最大径7.94mm-最小径6.13mm=山の高さ1.81㎜ ピッチ1.41
M8    : 最大径8.00mm-最小径6.65mm=山の高さ1.35㎜ ピッチ1.25
と、ウィットネジのブルクリ仕様の方がネジ山が荒いので、ウッドコアやフォームコアに対してならW5/16のほうが有利か?
スキー工作その2 ~インビス化~_c0087773_22203082.jpg

18個購入として計算すると・・・。
ブルクリ : 18個 × 147円 + 送料(メール便)200円 = 2846円
FED : 1470円(16個セット) + 2個 × 105円 + 送料525円 = 2205円
この差なら私はブルクリ仕様かな。
「Quiver Killer」もW5/16みたいですね。

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「作業工程は?」

詳細な工程は検索すればたくさんヒットするので書きませんが、大雑把には以下の通り。
①取り付けの位置を決め、ビス位置のマーキング
②φ6.3で穴空け
③タップ立て
④接着剤をつけてインビス挿入
⑤接着剤の硬化を待つ

通常の取り付けに一手間かけてるだけで、自分で取り付けできる人には難しいことではないです。
ただ、穴あけとタップ立ての垂直はできるだけ高精度で出しておいた方がいいでしょう。
木ネジなら多少斜めでも問題ないですが、インビスが斜めに挿入されると、金属同士なので融通が利きません。
ネットではいろんなジグで工夫している人が多いですが、私は卓上ボール盤を使用しました。
「ウロコ」を作った時に使用したものですが、インビス用が本当の購入理由です(笑)
穴空けの深さも設定できるし、タップを装着し、チャック部を掴んで回せばスキー程度なら十分切っていけます。
板2セットに施工するとなると30箇所以上の作業になります。
今後の板もすべて使うと考えると、ボール盤の購入も決して無駄ではないのでは?

「BLUECLIFF」のインビス施工の動画もあります。



ストッパーのみのハンドドリルで加工してますね。
慣れるとこれでOKなのかも。

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「実際作業した感想は?」

「KARHU STORM」の方はもともとTLTが装着されていたので、元のネジ穴をガイドに施工するので簡単でした。
そのままの位置に上記の作業を繰り返すだけです。

しかし「K2 PONTOON」の方はちょっと厄介でした。
この板には、過去にサロモンのアルペンビンとNAXOを取り付けていたのですが、サロモンの穴跡が微妙・・・。
一応、旧穴との間隔は10mmは必要とのことですが、トゥー側・ヒール側共にカツカツ。
特にヒール側がキビしく、私のソール長から割り出される位置より5mmほど前に出し、アジャスターで調整することに。
将来的にブーツのソール長が大きくなったら対応できないかも・・・。
自分での施工だから自己責任で対応できるけど、ショップに頼んだら無理と言われたかもしれないですね。
そんな位置決めに苦労しただけで、あとの作業は同じです。
結局、通常の取り付けと同じく、「位置決め」が一番のキモなんですわ。

ちなみに、まだ埋めていなかったNAXOの穴にも一応インビスを施工しておきました。
ゲレンデメインのPONTOON、やっぱりステップインのNAXOに戻すことも考えられるんで。

今回「TLTバーチカルFT用」に18箇所×2セット、「NAXO用」に14箇所の計50箇所施工しました。
ツールさえ揃っていれば決して難しくは無いですが、さすがにメンドウな作業ではあります。
ショップでの工賃も(失敗時のリスクを含めると)むしろ安いのではないでしょうか。

実は今回の作業でとんでもないミスをしでかしました。
PONTOONを施工する際に、タップの下穴(φ6.3)を完全に貫通させてしまった・・・(それも5つも!)
ボール盤のストッパーが緩んだのか、ドリル自体が緩んだのか。
大分慣れてきたところなので完全に油断して作業してました。
一応、インビスを挿入後、裏からエポキシを流し込み、最後はリペアキャンドルで埋めておきました。
スノーボード用だと、ソール側からツバ付のインビス入れるみたいなので、この処置でおそらく大丈夫だと思うけど。
どっちにしろ、かなりの数の穴が開いてるから、板自体の強度は大分落ちてるだろうな~。
という訳で、作業に慣れても絶対に油断は禁物!!

スキー工作その2 ~インビス化~_c0087773_22295580.jpg

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「使ってみると?」

とりあえず、ジャムの最終日に、午後からはインビス施工した「KARHU STORM」で滑ってみました。
不安要素とすれば、①ネジの緩み②インビスと板の結合強度あたりでしょうか。

①「着脱可」のための工作なんで、当然ネジが緩む可能性はあります。
今回のジャムでは、あえてネジロック剤は使用せず半日滑りました。
結果、18本の内の2本ほどが少し緩んだかな?くらい。
ひょっとすると均一に締めこまれてなかっただけかもしれません。
今後は一応ネジロック剤を使用し、毎回チェックしていれば特に問題ないような感じです。
そもそも、通常の木ネジでも緩む時は緩みますからね・・・。


②これが一番不安でした。
通常の取り付けネジは山のピッチも粗く、スキーのコア材にガッチリ食い込みそうです。
それに引き換え、インビスの強度は接着剤にかなり依存するのでは?と思ってたんですね。
でも実際作業してみると、これは大丈夫だなと思えてきます。
まあ、強度試験をした訳ではないのであくまで感覚での話ですが・・・。
一番最初に木の端材にテスト施工してみたんですが、接着材無しで挿入したにも関わらず、取れなくなってしまいました。
結局、周りの木材をカッターで削り落として無理やり外す羽目に・・・。
インビスが抜ける負荷なら、通常の取り付けでも抜けてしまうような気がします。
滝本氏のブログにも「エポキシで固めたインビスは木ねじよりはるかに強力で、いままでビス抜け報告は無い」とあります。
ジャムではコブも滑ってみましたが、今のところ抜けそうな雰囲気は無いです。

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・一つのビンディングをコンディションにあわせた板に装着する(ファットスキーと軽量スキーなど)
・一つの板で複数種のビンディングを使う(ゲレンデビンとATビン、TLTとデューク、ATとテレマークなど)
・数センチずらして施工し、ブーツセンターを選べるようにする(パウダーとパークなど)
ざっと、こんな使い方があるでしょうか。
まあ、どれもスノーボードでは当たり前のことなんですけどね(笑)

実際の所、左右で計20本弱のネジを付け替えるのは結構メンドウ。
しかし、コンディション次第で板を選ぶことは十分可能です。
特に今回の施工例のように、シーズン前後で使い分けるような使用法なら全然アリだと思います。
これに加えて、スプリットシールが使い物になれば完璧なんですけどね・・・。

とにかく工夫次第でいろいろ世界が広がりそうです。
オマケに、今までショップ任せだったことを自分で行うことで、見えない板内部の構造もわかるようになってきました。
手痛い「失敗」もありますが、それも含めてより深くスキーを理解できるような気がします。
ビンディングを自分で取り付けされている人ならぜひともオススメします!
もちろん、この手のことではお約束の「自己責任で」ですけどね(笑)
(一応、スキーのビンディングは講習を受けた有資格者じゃないと取り付けてはいけないことになってます)
by daisuke_youmei | 2013-04-10 22:33 | 山道具 *
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