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山スキーロープワーク考察
2012年 03月 07日 *
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ずーっと気になっていた、ロープを使っての引き上げシステム。
この前の荒島岳北尾根でのちょっとした転落事故をきっかけに、やはり必須技術と実感しました。
先日の勉強会を期に、携行が負担にならない実現可能なシステムを考えてみました。

想定する転落事故としては、雪庇の踏み抜き等による転落(この前のがこれ)、谷割れした沢への転落などかな。
転落者は意識があり自力で行動できる状態。手足の捻挫・打撲程度の負傷は想定しておきます。
もし意識不明、行動不能なら正直我々の手に負える状況を越えているから、救助を要請すべきなのかなと。
セルフレスキューの限界を知ることも、無茶な行動を戒めることになるので重要だと思っています。

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c0087773_23113154.jpgまず、標準は「1/3引き上げシステム」でしょうか。
基本的な仕組みは図1の通り。
原理的には引き上げる重さが1/3になる仕組みですが、実際は抵抗があるのでそう上手くいきません。
でも、上記の想定範囲内なら、実験の結果からなんとか引き上げられると思います。
次にこのシステムに必要なギアの総重量を1000g以下としました。
当然、ほとんどの山行でザックの肥やしになっているのは間違いないので、軽い事にこしたことはありません。
こいつがしょっちゅう出動するなら、違うことを考えなおさないとダメです(笑)
このくらいなら、常時携行しても良いかな~。
こうやって上限を決めないと、どんどん増えてしまうので・・・。




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セット例 合計重量965g
①ロープ (ファイントラック 6.5mmフローティングロープ 20m 390g
②安全環付カラビナ (Camp Orbit Bet Lock Screwgate) 2個 49g×2
③ノーマルカラビナ (MAMMUT Moses Wire Gate Carabiner)3個 26g×3
④プーリー付カラビナ (BD オーバルカラビナ + ペツル ウルトラレジェ)2個 75g×2
⑤ソウスリング(60㎝ 120㎝ 180㎝)各1本 計104g
⑥フリクションヒッチ用スリング (PMI 6mm×28cm) 1本 36g
⑦エイト環 (SMC エスケープエイト)1個 48g
⑧スタッフバッグ (HOBO GreatWorks ダブルブッキングスタッフバッグ) 61g

①一番の重量物のロープは軽量さ優先でダイニーマ芯のフローティングロープをチョイス。
「ゴージュバッグ」という専用バッグとのセット商品が有名ですが、実はお店によっては切り売りもしています。
メーター約250円と、ナイロンロープと比較してもそれほど割高感はありません。
補助ロープとしては一般的な8㎜ナイロンロープの静的引張強度約1280kg(エーデルワイス製)に対して、同1100kgの強度のようです。(ちなみに6mmのナイロンロープは同720kg)
これが十分なのかどうかは解りませんが、メーカーも救助等にも使用可と謳っているので大丈夫なのでしょう。
重さは8mm×20mで約940g(エーデルワイス製)に対し、同じ20mで390gとずいぶん軽く、細いので当然体積も小さいです。
といいことづくめのようですが、システムを組む上ではこの「細さ」が何かと扱いにくさの原因なので、そこをどう処理するかがこのセットのキモとなるでしょう。
ほとんど伸びないロープなので登攀用としてはもちろん使えません。

②普通サイズの環付カラビナです。
自分の簡易ハーネス用と転落者側のロープ端に使う用です。
ムンターヒッチを使うなら一つはHMS型にしたほうが良いのかもしれませんが・・・。

③軽量なワイヤーゲートカラビナです。
これを二つ、図1の①部にガルダーヒッチで使用し、逆戻り防止として使用します。
ロープが細いので、スリングのフリクションヒッチではイマイチ上手く機能しなかった。
いろいろ試した結果、ガルダーヒッチが一番安定していました。
もう少し丸い断面の物に変えてもいいかも。
三個目は何かと予備です。

④プーリーの車輪だけをオーバルカラビナに通しただけです。
BDのオーバルはノーズがでかいのですが、押し込めばちゃんと通ります。
はずす時は結構大変ですが・・・。(お店で試してあせった)
一つは図1②部に、もう一つは引っ張る向きを変えるときに使用します。
プーリーは無くても機能しますが、ガルダーヒッチ部はかなり摩擦抵抗が強いので、その他の抵抗をなるべく軽減するため一応着けてあります。
ただテンションが緩むと外れやすいのが難点なので、DMMのリボルバーがあるといいなぁ。高価いけど・・・。
ちなみに、引き上げ者に近いカラビナほどプーリー使用の効果は大きいらしいです。

⑤ダイニーマのソウスリングです。
60cmと120cmは支点作成用、180cmは簡易ハーネス用なんですが、ちょっと長い。
簡易ハーネス用としては150cmがベストかな。女性なら120cmでもいいかも。
ナイロンの150cmは持っていて、幅広だから着け心地はいいのですが、かなり嵩張るんですよね・・・。
支点は立木があれば利用し、無ければ雪にスキーを埋めてスリングをタイオフします。

⑥図1②部に使用する、フリクションヒッチ用のソウスリングです。
一般的にメインロープより細いロープスリングでプルージックにするようですが、メインロープが6.5mmしかないので、5mmとか4mmになっちゃうと緊急用とはいえちょっと心もとない。
これは6mmであまり太さに差がありませんが、キレイに4巻きしてクレイムハイストにすればきっちり効きます。
強度も11.2KNあるそうです。

⑦あんまりやりたくありませんが、一応懸垂下降用。
このロープでもダブルならちゃんと制動が効きくし、小さくて軽い。
ふつうのエイト環じゃぜんぜん止まらないし、デカイからセットに入れたくない。
ちなみにフローティングロープでの懸垂下降をメーカーは禁止しています。
芯のダイニーマは融点が低いらしいし、外被(PP製)はなんか編みが荒いし。
ネット上の情報では結構みなさんやってますが、自己責任ということで・・・。

⑧写真には載ってませんが、たまたま持ってた2気室のスタッフバッグ。
片側にロープを、反対にカラビナやスリング類を入れておきます。
ちょっとこのセットには大きめなので、ザックに押し込んだとき形がなじんでちょうど良いです。

と、現在のところ上記のセットに落ち着きました。
ここにたどりつくまでに、納屋の梁からロープを垂らして(傍から見たらかなりヤバイ!)何度も組み合わせを試したり、いろんなことを調べたりしました。
まあ、人によってはなんて面倒なことを・・・と思うかもしれませんが、パズルを解いているような感覚で非常に楽しかった!
その甲斐あって、今まで同じ形にしか見えなかったカラビナの微妙な違いが気になったり、フリクションヒッチの種類の差や、世の中にはマニアックなクライミングギアがたくさんあることを知ることになり、今後のためにも良い勉強になったと思っています。
もちろん最終的には、先日の勉強会で実際にみんなでテストをし、ちゃんと使い物になることを確認しています。
でも、このブログを見て、同じような組み合わせで事故がおきても責任は負えません。
あくまで自己責任でお願いします!
by daisuke_youmei | 2012-03-07 23:27 | 山道具 | Comments(2) *
Commented by グッチ 財布 アウトレット at 2013-03-11 10:46 x
お世話になります。とても良い記事ですね。
Commented by Carashalarijend at 2013-07-19 16:39 x
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